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2022年7月31日(日)の説教要旨 [説教要旨]

コリントの信徒への手紙Ⅱ 6章1~10節 「恵み受けて」 髙田太

◆ 7月16日に、大学チャプレン会が阿倍野の桃山学院聖テモテ館で開かれた。主題は「チャプレン会の歴史を振り返り、今後のあり方を考える」であった。チャプレン会創設者の工藤先生と、関西学院大学のチャプレンをしておられた今泉信宏先生が講師で、チャプレン会の思い出や創設の思いが語られた。学園紛争の時代の1970年、キリスト教学校教育同盟総会の際に、当時、同志社大学宗教部にお勤めだった工藤弘志先生が発案をされてこの会が始まったとのことだった。

◆ 夕食会でも思い出が語られ、会の実態がわかってきた。北海道でアイヌの学びをしたり、新潟では公害問題に向き合ったり、東京でイスラームのモスク、東京ジャーミーを訪れて宗教間対話をするなど、学びを重ねて来られたのだが、それは交流のための学びで、そうした取り組みの中で絆が育まれるということを教えられた。思い出を語る先輩方の姿と、支え合いの姿勢が印象的で、そうしたことが志を受け継がせるのだろうと思わされた。

◆ しかし、各チャプレンの現状報告を聞くにつれて、状況の厳しさが浮かび上がってもきた。少子化の影響もあってキリスト教主義大学も経営的に厳しい戦いを強いられているし、そういう中でキリスト教主義の実質を保つのに苦労をしている。やはり少子化と、教会の力の低下が現れてきているように思った。

◆ この日、工藤先生と少しお話しした際、同志社教会のこどもの教会はどうなってるの、とお聞きになった。そういうことについて説教で紹介したらいいよとも言われた。そういうわけで、ちょうど今日がその時だと思った。今日の礼拝後からD.J.C.(同志社ジュニアチャーチの略称)のグループで修養会に行くことになっているからである。学びの行事が交わりを育んで、思い出を作り、その語りが、これに関わってきた方々の志を浮かび上がらせて、その継承を促して行く。大学チャプレン会で経験したそのことはまた、こどもの教会や、あるいは教会活動それ自体にも当てはまることだろう。

◆ 同志社教会に着任して8年目を迎えるわたしの目線で、こどもの教会とD.J.C.の活動について振り返りたい。D.J.C.は2017年度に始まった。望月先生が来られてこどもの教会に繫がるようになったこどもたちが小学校高学年になっていたので、そうしたこどもたちのための活動を、ということだった。参加者の希望を聞くと、最初は比叡山に登りたいということだったが、比叡山登山は難易度が高いため、吉田山登山に変更した。2018年の3月に実行した。プログラムには花岡山の奉教主意書の抜粋を掲載しているから、活動のはじめにそういう同志社的な思いを確認しようとしていたことがわかる。分級ではマタイ福音書を読んでおり、マタイ福音書でもイエスはすぐに山に登って教えるのでそれも重ねた。

◆ 2018年度は、企画第二弾として、京都駅周辺の地域的問題を学びに行くことにした。イエスは山を降りた後、ガリラヤの町々で活動されたからである。事前の分級の時間に少しずつ学習をして、柳原銀行記念資料館を訪れて部落差別問題を学び、洛南教会で在日朝鮮人の問題を学んだ。望月先生が説教でこどもたちの感想を取り上げてくださったこともある。

◆ 2019年度に入ると、だんだんとこどもの教会全体の調子が落ちてきていた。夏のキャンプは参加希望者が少ないために中止となり、代わりに集会所で卓球台を借りての夏祭りが行われたが、参加者は少数に留まった。D.J.C.の企画第三弾、光の教会・万博記念公園訪問は2020年3月26日の実施予定だったが、まさにそこをコロナ禍が襲った。行事は直前に中止となった。こどもの教会も礼拝を中止、夏休み明けの頃から再開するものの、年明けの2度目の緊急事態宣言に伴って再び活動が停止した。そうして望月先生の主任牧師御退任があり、こどもの教会は主軸となるスタッフを失い、ほとんど消滅したような形で2021年度を迎えた。

◆ そうして迎えた主任牧師不在の2021年度、主日礼拝同様に動画配信という形をとることで7月からこどもの教会の礼拝を再開した。どれくらいのこどもたちに届いているかの手応えもわからないまま、ここまで継続してきたが、教会員の中にもご視聴くださる方がでてきて、お支えを本当にありがたく思っている。2022年度、菅根先生がご着任され、こどもの教会の持ち方、あり方を、いよいよに改めて協議して行かねばならないと思っているが、そういう状況で今日、初めてD.J.C.の行事を行おうとしている。

◆ 今日の聖書箇所でパウロは困難な状況の中にも恵みを見出す目があることを示していた。鞭打ち、監禁、暴動、労苦、不眠、飢餓においても、と語っていた。彼の活動がいかに大変だったかがよくわかる。教会との関係でも苦労をした。だからこそコリントの教会に宛てて手紙を書いている。結局コリントの教会はパウロを離れていったらしいことが、使徒言行録の記述などから窺えるが、それでもパウロは恵みを見出す目によって、自らに与えられた目の前の課題に一心に仕え、手紙の文字を書き、走り、祈り続けることができた。いかなる困難の中にあっても、キリスト者としての自らのうちに、純真、知識、寛容、親切、聖霊、偽りのない愛、真理の言葉、神の力が与えられていることを見出すその目を、わたしたちも持ちたい。

◆ 純真は、いかなる困難をも恵みとして受け入れることのできる心である。その純真によってこそ、かたよりなく知識を身に着けることができる。そして知識があればこそ、他者を理解し受け入れる寛容の心が養われるし、知識に基づいてこそ、独りよがりにならずに誰かに寄り添っていく親切が育まれる。そうした営みのうちに働き見出される聖霊の働きが、様々な雑音の中から、まことの愛の調べと真理の言葉を浮かび上がらせる。

◆ こどもの教会も厳しい状況であるし、冒頭お話ししたようにキリスト教主義大学もそうである。しかしパウロのように、状況を嘆くことなく、そこに恵みを見出す目を持って歩みたい。わたしたちはそうしてここまで進んできた。なお繫がっているこどもたちがいる。受け継がれるべき志がある。今や、恵みの時、今こそ、救いの日。パウロの言葉に励ましを受けて、無一物のようですべてのものを所有していることを思い、進み続けるものでありたい。

2022年8月14日(日)の主日礼拝 [主日礼拝のご案内]

2022年8月14日(日)午前10時30分
聖霊降臨節第11主日
於:同志社礼拝堂
説 教:「神の前での一人」
              牧師 菅根信彦
聖 書:エレミヤ書5章1〜6節
招 詞:イザヤ書2章4節
讃美歌:24,53(1・3・4節),505(1〜4節),91(1節)

(オンライン礼拝視聴申し込みフォーム)
https://forms.gle/JnJshLvcWuMekSFR6
(礼拝式順序(週報)ダウンロード)
https://www.doshishachurch.jp/home/weekly

※オンライン礼拝への参加(視聴)には、事前にお申し込みが必要です。上記フォームからお申し込みいただきますと、以降、毎主日(日曜)の礼拝配信URL(毎回異なります)をお送りいたします。
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※当日の配信は午前10時25分ごろから始まります。ご視聴の準備をしていただき、礼拝の始まりをお待ちください。
※お手元に聖書・讃美歌集をご用意の上、礼拝にご参加いただけましたら幸いです。同志社教会では、聖書は日本聖書協会『新共同訳聖書』を、讃美歌集は日本基督教団讃美歌委員会『讃美歌21』を使用しています。

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