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2013年11月3日の説教概要 [説教要旨]

降誕前第8主日礼拝  2013.11.3
説教:「重大事件発生」 望月修治
聖書:創世記4章1~10節

◆ 「カインとアベルの物語」は、弟殺しという重大事件を語る物語として知られています。カインとアベルは、アダムとエバの間に生まれた兄弟です。兄カインは土を耕して実りを得る農耕者となり、弟アベルは羊を飼う牧羊者となります。あるとき2人は神のそれぞれ供え物を神にささげます。兄カインは土を耕して収穫した実りを、弟アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来て捧げました。ところが神は弟アベルとその献げ物には目を留められたが、兄カインとその献げ物には目を留められなかったというのです。カインはそのことに激しく怒って顔を伏せます。そして不平等な扱いに耐えきれず、ひそかに弟を殺害してしまいます。
◆ いくつかの疑問が生じます。ひとつは、カインとアベル、2人がそれぞれ供え物をささげたのに、なぜ神は弟アベルとその供え物だけを目に留めたのか、ということです。それは「不平等の謎」とも言うべき問題です。問われているのは、「不平等の謎」と共に生きていく道をいかに見出して行くかです。
◆ 兄カインは、不平等の問題を、弟アベルを殺害することで解決しようとしました。その時カインは、「顔を伏せて」神からの語りかけに対して全く心を閉ざしてしまいました。弟の殺害を考えているカインに、なお神は語りかけていたにもかかわらず、カインは最後まで「顔を伏せた」ままでした。それは神の語りかけを聞き答えるという応答責任を放棄してしまうことを意味しています。そのことは弟アベルを殺害したあとも変わることはありませんでした。 
◆ しかし、カインの神からの離反が頂点に達した次の瞬間から、ドラマは急展開をとげます。神はカインに「何ということをしたのか」と叱責し、カインを呪い、そして土地を耕す農夫にとって一番重要な「土」もまた呪われ、作物を生み出さなくなることを告げます。カインはここに至ってはじめて伏せていた顔を上げて、神に対して必死に自らの窮状を訴えはじめます。13−14節です。「カインは主に言った。『わたしの罪は重すぎて負いきれません。今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、わたしが御顔から隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであれ、わたしを殺すでしょう。』」 これは切羽詰まった人間の命乞いのようにも読めます。しかし、ここでカインは単に命乞いをしてのではなく、はじめて神と向き合い、神と真正面から対峙しているのです。カインは状況が切羽詰まったからとはいえ、顔を神に対して上げて応答していると見ることができます。
◆ 実はこのことがもっとも重要なポイントなのです。この物語の中心は人類最初の兄弟殺しということにあるのではなく、取り返しのつかない罪を犯してしまった人間が、いかにしてなお神の前に立ち得るかということにあるのです。「カインとアベルの物語」の特徴は、常に神がカインに対して語りかけ、問いかけておられるということです。6節で神は「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか」と問いかけています。このときカインは顔を上げ、自らの怒りを神に訴えることができたはずです。それはカインに開かれていた「もうひとつの可能性」であったのです。またアベルを殺害した後でも、神はカインに「お前の弟アベルは、どこにいるのか」と問い、そして語りかけています。それは厳しい問いかけですが、逆を言えば神はまだカインに応答を求め、見捨てていないということを意味しています。
◆ そしてカインの深い嘆きの言葉を経て、最後に一筋の光がこの物語に射し込んできます。しきりに身の危険を訴えるカインに対して、神は次のように語り、保護を約束したと記されています。15−16節です。「主はカインに言われた。『いや、それゆえカインを殺す者は、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう。』主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けられた。カインは主の前を去り、エデンの東、ノド(さすらい)の地に住んだ」。
◆ ここで重要なのは、「カインのしるし」の意味です。そのひとつの意味は、追放という処分を受けて当然の殺人という罪を犯した」「罪人であるというしるし」です。神はカインの犯した罪をあいまいにするわけではありません。しかし同時に、その「しるし」は、罪を犯しつつもなお生かされ、神が見守り、保護する「しるし」でもあるのだということです。カインは追放されます。しかし神から見捨てられたわけではないのだということです。カインの身は、神によって守られることが約束され、保障された「赦された罪人」としてであるということを今日の物語は語っているのです。

2013年11月17日(日)の主日礼拝 [主日礼拝のご案内]

2013年11月17 日(日)午前10時30分
降誕前第6 主日
説 教:「王への説得」
 牧師 望月修治
聖 書:出エジプト記
6章2~13節(旧約p.101)
招 詞:マルコによる福音書13章5-7節
讃美歌:29、58,475、399、91(1番)
交読詩編:77;5-16(p.83下段)
※礼拝は静和館4階ホールにて行われます。
同志社女子中高のみなさんへ
いつもたくさんの方がいらしてくださり、ありがとうございます。
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ご協力をお願い致します。

こどもの教会礼拝は晴天なら野外礼拝です。9:25に栄光館前で集合して、京都御所で礼拝します。
雨天の場合は、こどもの教会礼拝は静和館で行われます。ご注意ください。

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